数学が伸び悩んでいる子(仮にAさんとします)から、先日、こんな相談を受けました。 「予備校の数学の授業はとてもわかりやすく、先生もすごく熱心にわかりやすく教えてくれます。さすが、人気講師は違いますね!予習ではほとんどわからなかった問題でも、先生の解説のおかげで、ちゃんと理解することができています。」 ここまで聞くと、とても良いように聞こえます。 ところが、Aさんは次のように続けます。 「なんですが、模試になるといつも点数が思うように伸びないんです。予備校のテキストの問題を何回も復習しているのに、見たことがない問題になると、途端にわからなくなってしまいます。かなりの時間数学を勉強しているんですが、結果が出ないので焦っています。どうしたら良いのでしょうか?」 これは、数学という科目の大きな落とし穴です。 さあ、皆さんは、Aさんの学習方法のどこがマズいと思いますか? また、どうすれば数学の成績を上げることができると思いますか? 数学の成績を上げるために大事なのは、「数学的な考え方ができるかどうか」ということです。 では、「数学的な考え方」とは何でしょう? それは、初めて見る問題に対し、問題をどう解釈し、どんな数学的ツール(ベクトル、三角関数、複素数平面など)を使い、どの定理・公式を適用すれば、出題者が求める答えを導くことができるか、その方向性を見定めることです。 それがクリアできて、ある程度解き進める過程でうまくいきそうであれば、あとは計算処理を間違わずに進めていくだけです。 言い換えれば、数学の問題を解くうえでもっとも大事なのは、「問題に対し、適切な道筋をたどれるかどうか」なのです。 そして、その道筋をつまずかずに最後まで歩ききる計算力です。 数学でやる処理は、この2つだけです。 それはつまり、この2つがしっかりできれば、合格点をクリアできることを意味し、志望校に合格できることを意味します。 数学が苦手、あるいは勉強しているのに点数が伸びない、という受験生は、上記のうちのどちらか、あるいは両方が欠けている、という場合がほとんどです。 「そんなこと考えもしなかった」という人は、結構多いのではないでしょうか? これは、「解法パターンをどれだけ多く覚えているか?」ということとは違います。 解法パターンを多く覚えていることは、もちろん重要ではありますが(それだけ解ける可能性のある問題が増えるので完全に間違っているとは言えません)、ただ、解法を「知らない」問題が出てきたら、その時点で完全にお手上げです。 数学をいわゆる「解法暗記」に頼っている受験生は、このワナに陥りがちです。そして、「知らない」問題に対しては考えようともせず、「放棄」してしまう場合が多いように感じます。 「初めて見る問題にどうやって対処するか?」それが本当の数学の力です。 そしてそれは、「予備校の熱意ある先生によるわかりやすい授業」ではなかなか身につきません。 もちろんこれは、熱意あるわかりやすい授業を否定するものではありません。それは受験生にとって十分に価値があるものです。 言いたいのは、それだけでは十分ではない、ということです。 大事なのは、「自分で問題を考える時間を、普段からどれだけ取っているか」ということです。 それは先ほどの言葉を使うと「自分で適切な道筋を見つけられる練習をどれだけしているか」ということになります。 これは訓練です。聞いてできるものではなく、自分で実際に練習して時間をかけて身につけていくものです。(中には、僅かな練習で無意識的にこれができる子もいますが…) そしてそれは、一方的な「聞いて理解できる授業」の中ではなかなか身につきません。 たとえば予備校のテキストと同じ問題には対処できても、少し問題が違ってくると、自分で考える練習をしていない受験生は、途端に思考が停止してしまいます。 特に、「定期テスト慣れ」している子にはこの傾向が強いように感じます。 すると次に、こんな疑問が湧いてくるかもしれません。 「数学の力をつけるために、適切な道筋を見つけられる状態になるには、普段どんな勉強の仕方をすればいいんですか?」 という疑問です。 この解決のために大きな価値を発揮するのが、「マンツーマン指導」です。 センスのいい子は、集団授業でも自分でこれができますが、そんな子はあまり多くはいません。 私が数学のマンツーマン指導にこだわっている理由は、実はここにあります。 具体的な方法については、また別の機会にお伝えしたいと思います。 また、中には計算練習を疎かにしている子もいます。 解法がわかればそれでOK。次の問題へ…というパターンです。 […]
数学学習方法
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